『たて書きの手紙』

携帯やインターネットの普及によって、手紙を書くということがとても少なくなりましたが、最近はお祝いをいただいたり、お世話になった方に、お礼のお手紙を書く機会が増えてきました。

「手紙を書くときはマニュアル本を参考にせず、相手を思いながら自分の言葉で書きなさい」とは、筆まめな母の弁です。
マニュアル本の多くは言葉遣いや表現が画一的で、それを読んでしまうとどうしてもその画一的な表現方法が頭に入ってしまい、手紙に表れてしまうのだと。
そうすると、送り主の感性やその人らしさの伝わらない、味気ない手紙になってしまうのだそうです。
個人の名前で手紙を書くときは、相手のことを考えながら、こころを込めて自分の言葉を使って書くことが大切であると母は言います。
確かに一理あり。

しかし、そうは言っても、お礼状などの手紙の宛先は、得てして目上の方であることが多いものです。
失礼があってはいけません。
どのようなことにも最低限のマナーがありますよね。当然、手紙にだってマナーがあります。
そんな折出会ったのが、『たて書きの手紙』という本でした。

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この『たて書きの手紙』は、手紙の書き方ハウツー本ではありません。
ぱらぱらと数ページめくっただけでも、いわゆるマニュアル本ではないことが分かります。
よくマニュアル本の帯に見かける、「そのまま使える文例集!」などはひとつもありません。
心のこもった美しい手紙を書くのに、そのようなものは必要ないのです。

手紙の基本の形、約束事というものは、「こうでなければならない」という約束事ではなく、「こうすればもっと上手に心が伝わる」、そのための形、なのだそうです。
この本には、そうした手紙の作法であったり、ちょっとした心遣いの方法や美しい表現方法を身につけるためのアドバイス、また文章を書くための心得などが記されています。
私がとても参考になったのは、筆者が日頃から心を配っていることや、実際にいただいてうれしかった手紙などのエピソードでした。
印象に残る手紙からは、相手を思いやる心が伝わってきたり、表現の豊かさが感じられます。

女性は特に、年齢を増すほど常識や作法は避けて通れない道だと思います。
それは、手紙に限ったことではありません。
書籍にせよ人物にせよ、良きお手本を得ることは若輩者にとってはとても大切なことですよね。
たて書きの手紙』は、「手紙を書くのは苦手。でも、書かなければいけない。」という状況下にいる、若くもなく年寄りでもない年代の多くの女性にぜひお勧めしたい一冊です。

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丹生谷 真美

文化出版局 2004-04
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